「米国市場の優良株といえば何?」と質問されたときに、Microsoft(マイクロソフト)を挙げる人は多いかもしれません。私も新卒で入社した会社なので、どことなく縁を感じています。
マイクロソフトの株価は2020年2月27日の終値で158.18ドルでした。
対して同じくアメリカの大手企業であるAmazon(アマゾン)の株価は、同日終値で1884.30ドルです。
どちらも世界的なIT企業でS&P500の構成銘柄なのに、株価が1ケタ違うのはなぜなのか?そんな素朴な疑問を抱いたので、株価の決まり方について調べてみました。
もちろんこの株価の大きさはあまり大切ではなく、株価の推移や時価総額などの方がはるかに重要な数値です。つまりただの興味本位な調査なのです(笑)。
ちょっとしたトリビア記事だと思って、気楽に読んでみてくださいね。
マイクロソフトとアマゾンの株価が1ケタ違う理由
まずマイクロソフトとアマゾンの上場時期や上場時の初値、時価総額などを比較してみましょう(2020年2月27日終値ベース)。
マイクロソフト | アマゾン | |
---|---|---|
上場年 | 1986年 | 1997年 |
上場時の初値 | 25ドル | 18ドル |
直近の株価 | 158.18ドル | 1884.30ドル |
株式発行数 | 7,606,047,010株 | 497,810,444株 |
時価総額 | 1,203,124,516千ドル | 938,024,220千ドル |
アマゾンの方が株価の伸びがすさまじいですね。アマゾンは上場以来配当を出していないので、その分株価が伸びやすかったのでしょうか?完全なる勘ですが……。
なお株価はアマゾンの方が高いですが、株式発行数はマイクロソフトの方が多いです。その結果、現在の時価総額はマイクロソフトが約1.2兆ドル(=約132兆円)、アマゾンが約9380億ドル(=約103兆円)と、マイクロソフトの方が勝っています。
上場時の株価は機関投資家の意見とIPOで決まる?
そもそも上場時の株価はどうやって決まるのでしょうか?アメリカの証券取引所での詳細な手順が調べられなかったので、ここでは日本で上場する場合の手順を元に説明します。基本的なオペレーションはほぼ同じなので、参考になると思います。
証券取引所に上場する場合は、「IPO(新規上場)」の手続きを取ります。IPO株は通常の株取引とは違い、事前に参加申し込みが必要です。IPO株は近年人気がとても高いので、抽選で参加者が割り当てられます。
投資家は、主幹事の証券会社が発表した「公募価格」を元に、参加を判断します。この公募価格は金融機関などの機関投資家の意見を参考に決定されていて、上場時につくと予想される株価よりもやや低めに設定されるそうです。そして上場後に初めて取引されたときに、「初値」がつきます。
つまり上場時の株価は、IPOでの公募価格を参考に、市場での取引によって決められます。ということは、機関投資家の意見と実際の取引結果が、初値を左右する重要なファクターと言えるでしょう。
IPOに関する内容がまとまっていた記事です。興味がある方は読んでみてください。
マイクロソフト上場時、ビル・ゲイツのエピソード
マイクロソフト創始者であるビル・ゲイツはあらゆる意味で規格外の人。大学在学中の20歳で起業し、10年後の1985年には株式公開までこぎつけています。
その時の年商は約170億円、時価総額は約500億円だったそう。今からみると小ぶりの会社に見えますが、30歳でこの結果は恐るべき才覚といえるのではないでしょうか。
この記事に、上場当時のマイクロソフトやビル・ゲイツの状況が記載されていました。当時の目論見書の内容も興味深かったです。
こちらは個人ブログなので、その真偽までは確かめられなかったのですが、当時のビル・ゲイツのエピソードが記載されていました。
1985年にはすでに1億円規模の売上を得ていたマイクロソフト。ビル・ゲイツは上場にあまり興味がなかった様子で、公募価格も当初は15〜16ドルを希望していたそうです。
「営業しなくても買ってもらえるように低価格にしよう」と提案して、人々を驚かせたとか。
しかしブックビルディングが好評だったため、公募価格を21ドルに上げ、主幹事証券会社への手数料を若干値切って、ビル・ゲイツはバカンスに行ったそうです。上場を控えて休暇を取るとは!やはり破天荒な方だったんだなと思いました(笑)。
マイクロソフトの新規株式公開(IPO)(とむさとうのコラム集)
マイクロソフトやアマゾン、フェイスブック。今伸びている株を上場当時から買っていたら?
余談ですが、もし今伸びている大企業の株を上場時から持っていたら、どれくらい儲かっていたのでしょうか?
アマゾン、フェイスブック、ネットフリックス…… あのとき1000ドル投資していたら、今頃どうなっていた?(ビジネス・インサイダー)
こちらの記事にあったグラフが衝撃的だったので、引用させていただきました。
【アマゾン】
1997年5月15日のIPO後に1000ドル投資していたら、現在の価値は約86万5000ドル。
【マイクロソフト】
1986年3月13日のIPO後に1000ドル投資していたら、現在の価値は約140万ドル。
2000年前後のITバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックでは、多くの企業が株価低迷に悩まされました。マイクロソフトとアマゾンも例に漏れず、業績悪化に苦しんだそうです。
つらい局面を乗り越えたあかつきには、現在のような栄光が待っているんですね……(涙)。
マイクロソフトの株価はビル・ゲイツの意向?今後も株価の伸びに注目
マイクロソフトとアマゾンの株価の違いをテーマに調査しましたが、結論としては正確な根拠は見つけられませんでした。すみません!
ただマイクロソフトのIPO時には機関投資家の意見を参考にしつつ、最終的にはビル・ゲイツの意向がかなり汲まれたことを考えると、この低めの株価設定はビル・ゲイツの戦略ではないか、と私は考えています。
株式の勉強は奥が深くて面白いですね!これからも継続して学びながら、米国株市場に参加していきたいと思います。