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子どもへのファイナンス教育法とは?ミアン・サミ「7歳からの投資マインドが身につく本」まとめ

最近の日本は老後の資金不足や所得格差の広がりなど、
経済的な不安要素が多く、投資や副業にトライする大人も増えています。

しかしこの投資や金融の知識は学校では習えません。
学校で勉強できないなら家庭で教育するしかないですよね。

そこで子どもへのファイナンス教育に関する書籍、
ミアン・サミさん著「7歳からの投資マインドが身につく本 お金の教育がすべて」
を読み、その内容を簡単にまとめました。

これから子どもへのファイナンス教育を考えている方はぜひ参考にしてください。

著者「ミアン・サミ」さんとは?

著者のミアン・サミさん(以下、サミさん)のプロフィールを紹介します。

ミアン・サミ(Mian Sami、1980年4月12日−)は、お金の科学者として活躍する国際人。東京・品川生まれ、横浜育ち。両親はパキスタン人。

不動産を中心に個人投資に力を入れ、目標資産である10億円に到達する。2016年にドイツ証券を退職。まったく畑違いの飲食フランチャイズ事業に挑戦し、経営者として成功を収めた。現在は独自の資産運用法であるウォーターフォール投資法を広めるべく、セミナーやイベントの開催のほか、Webメディアにもたびたび寄稿。ブロックチェーン業界にも携わる。

引用:Wikipedia

現在は成功を収めているサミさんですが、
幼い頃の学校の成績はあまり良くなかったそう。
でもそれは経済的な成功に影響しなかったといいます。

学校の教育よりも役立ったことは2つあったといいます。

1つは両親の教育方針

サミさんの両親は学校の成績について何か言う代わりに
「会社の奴隷になってはいけない」
「無駄なものに投資をするな」など、
お金に関してサミさんに多くの智恵を授けたそうです。

もう1つは社会での経験

社会に出てからの十数年間、金融業界でお金のカラクリを学び、
多くの富裕層との交流したことや、自分自身で投資や起業をした失敗と成功から、
多くのことを学んだとのこと。

その結果、人生で一番大切なことは、
お金に関する幅広い知識「ファイナンシャル・リテラシー」を身につけること
と分かったそうです。

サミさんには日本人の奥様との間に4人のお子さんがいます。
その子どもたちに施しているファイナンス教育については、
本書の後半で紹介されています。

ちなみにサミさんは本書で、
大不況が明けたのに太平洋戦争が起こった1939年代と、
本書を出版した2019年とが酷似していることを指摘。

2019年から2020年にかけて「クラッシュ」が起きると予測し、
財産を現金化して投資機会に備えていると記していました。

実際2020年に入った今、
新型コロナウイルスの影響で世界的な経済危機が起きています。

現在の株式相場の下落は、これから投資する人にとっては絶好の買い場。
これを予測し、しっかり準備していたサミさんはさすがですね……!

子どもへのファイナンス教育が必要な理由

子どもにファイナンス教育をして、
ファイナンシャル・リテラシーを身につけさせる必要がある理由を、
サミさんはこう分析しています。

「100年に一度の転換期」だから

著名なファンドマネジャーのレイ・ダリオが
「これから100年に一度のレベルの転換期がやってくる」と発言しているように、
これから世界経済は激動の時代に入ると言われています。

実際に2020年に入ってから、
新型コロナウイルスにより世界中が混乱に陥っていますしね…

深刻化しているのは貧富の差の広がり

世界的に展開するNGO・オックスファムからは
「世界で最も裕福な8人と、世界で経済的に恵まれていない36億7500万人(世界人口の50%)の資産額がほぼ同じ」という報告書も出ています。

そしてこの格差は今後拡大していくと。
8人と世界の50%が同じ資産額とは、想像を絶する状態ですよね…

この危機的状況に対抗するために必要なのが、ファイナンシャル・リテラシー
本来なら学校で教えてくれればいいのですが、
残念ながら日本はファイナンス教育をしていません。

だったら家庭で行うしかない!
そのための知識を広めよう!という思いが、本書を書くきっかけになったそうです。

子どもに教えたい金融教育の内容

「お金の教育」とは、
お金が何から生まれてくるかを知り、お金を創り出し返済する能力を育むこと

そうサミさんは定義しています。その具体的な内容は何でしょうか。

「リッチマインド」を身につける

リッチマインドとは、
資産を増やし、「安心」と「自由」の両方があるバランスの取れた生き方をする考え方のこと。

安心と自由は、人が幸せになるために必要な要素で、
それを手に入れるためにはリッチマインドが必要だとサミさんは言います。

たしかに一生懸命働いてもお金がある人ばかりではないし、
たくさんお金があってもどこか満足できない人もいます。

お金があるから幸せ、というわけではなさそうですよね。

重要なポイントだけ、本書から抜き出しておきましょう。

  • お金とは「価値」を入れ込む器のようなもの。
  • 「価値」とは、誰かの問題を解決したことに支払われる対価。

つまり「価値」が保存されたものがお金だと、サミさんは語っています。

安心と自由を得るための働き方

ではどんな仕事に就けばリッチマインドが身につき、
価値を提供できるようになるのでしょうか?

サミさんが子どもに教えているのは、
どんな職業があるかだけでなく、どんな仕組みでお金を得ることができるかということ。

これは世界的なベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」に出てくる内容ですが、

  • 従業員
  • 自営業
  • ビジネスオーナー
  • 投資家

という4種類の働き方があり、
このうちビジネスオーナー投資家の生き方をすると、
リッチマインドにつながるそうです。

一般的には、従業員や自営業の働き方による収入を「労働収入」、
ビジネスオーナーや投資家の働き方による収入を「権利収入」などと表現します。

決して従業員や自営業の働き方を否定しているわけではないですが、
たしかに豊かな人は何らかの権利収入を持っているなあと思います。

だから子どもには、ビジネスオーナーや投資家という働き方があることを教えて、
その視野を広げてあげることが大切なんだそうです。

お金の仕組みを知る

皆が当たり前のようにお金を使っている現代ですが、
このお金がどのように流通していてどうやって循環しているか、
うまく説明できる人は少ない気がします。

お金を発行しているのは日本銀行などの「中央銀行」ですが、
実は銀行などの金融機関もお金と同等の「クレジット」を発行できるのです。

このクレジットを多く発行される人は、信用力のある人。

つまりその人の信用力こそ、お金を生み出すポイントなんだそうです。

また「借金」という言葉にはいいイメージがないかもしれませんが、
実は借金には「いい借金」と「悪い借金」があります。

今自分が抱えている借金は、果たしていい借金なのか?
このあたりの内容はとても興味深かったので、ぜひ本書で読んでみてください!

お金の歴史

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という名言があります。

歴史を学ぶメリットは、
歴史を学ぶことで成功と失敗のパターンを知り、自分が失敗する可能性を下げられることだそう。

お金の歴史といっても、膨大すぎて何から教えていいのか……。そんなときは、

  • お金がなかったころは物々交換をしていたんだよ
  • 実は物々交換よりも、借金による「ツケ払い」の方が利用されてきたそうだよ
  • 昔、借金を帳消しにするために「徳政令」を出していたんだって

といったことから教えていくといいそうです。

ファイナンス教育方法のヒント

では子どもにファイナンス教育をする際の具体的な方法 は何か?

本書からいくつか紹介します。これ以外にもまだアイデアがありましたので、
ぜひ本書もチェックしてみてくださいね。

ファイナンス教育の大前提になる考え方は、
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」ということ。
子どもが自活できる智恵を与えていくことを意識しましょう。

また 0 歳から 6 歳の幼児期 は、お金に関する信念(イメージ)が形成される時期

ここでいかにお金に興味を持ち、
ポジティブなものだと理解できるようにするかがポイントだそうですよ。

① 家庭内銀行を作って、お金の計算ができるようにする

サミさんの家庭は最初、本物のお金を子どもたちに触れさせていて、
子どもたちもお金を数えるのが大好きになりました。

しかしある日、子ども同士で小銭の取り合いが発生し、
お金への執着心が強くなることを懸念したサミ夫妻は、家庭内銀行を開くことを決定。

実際の小銭ではなく通帳を与えて、お金を計算だけで管理するようにしたそうです。

さらに子どもとの会話の中で、
「お金は人をハッピーにしたら作れる」
「人の問題はたくさんの人と会話して理解する」など、
お金の本質について考える機会を与えているそうです。

家庭内でお金の話は NG というイメージがあるかもしれません。

しかしお金について積極的に話すことで、
「お金が好き!」という気持ちが育ち、お金と上手に付き合える土台を作れるそうですよ。

② どんな能力をつけさせるか考えて習い事をさせる

教育熱心な家庭では、子どもにさまざまな習い事をさせているでしょう。
しかし子どもの意欲が育たなかったり、
習い事の費用が家計を圧迫したりすると本末転倒です。

習い事は子どもの適正や反応を見ながら、数を絞っていくことが大事
とサミさんは言っています。

実際に習い事をサッカーと中国語に絞り、
サッカーでコミュニケーション力やリーダーシップを、
中国語で人口の多い中国人の問題解決ができるようにしたそうです。

特にコミュニケーション力は多くの人の問題解決をするのに必要なので、
お金を生み出すための必須スキルと言っていいでしょう。

ぜひ幼少期に身につけさせたいですね。

③ お金の一部を投資に回す

家計を見直してお金を浮かせられたら、その一部を投資に回します。

小学生から中学生になると、実際に自分でお金を使う機会も増えてきます。
お小遣いを与えるだけでなく、実際に自分で投資させることも効果的だそうですよ。

お金は言語と同じく、多くの人たちが連携して行動するきっかけになります。

ある意味、お金は「世界共通語」

だからお金のルールや使い方を知っていることは人生を豊かにしてくれるんですね。

④ 外食先での会計をあてるゲーム

家族で外食したとき、そのお会計がいくらになるか考え、
一番近かった人が勝ちというゲーム。

これにより、日頃からメニューをしっかり読んで値段を記憶したり、
値段を合計する計算力や食べ物の相場を理解する金銭感覚もつくそうです。

さらに、よく利用するレストランやカフェなどの1日の売上を予想するゲームもあります。

サミさんはよく利用する近所のスターバックスの1日の利益を考えるというクイズをして、それに解答できたらお小遣いを上げているそうです。

ゲームによって金銭感覚を身につけられるので、とても面白そう!
ぜひ我が家でも取り入れたいと思います。

まとめ

サミさんの本はファイナンス教育に関することがギュッとまとめられていたので、
今後の教育に取り入れていきたいことがいくつも発見できました。

ここに書いたことはあくまで一部ですし、私の解釈も入っています。
ぜひ本書を手に取って学んでみてくださいね。

また良本を見つけたら、記事化したいと思います!