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会社員におすすめ!米国株投資のメリット・デメリットとは

資産運用を始めようと思ったときに、「米国株の調子が良いらしい」と聞いた方もいるのではないでしょうか。その噂通り、近年の米国相場は比較的好調で、米国株投資で資産を増やしている方も少なくありません。

しかし、なじみのない米国株式市場にいきなり飛び込むのは、少し不安ですよね。そこで、米国株投資のメリットとデメリット、初心者が取り組みやすい「米国ETF投資」について解説します。

資産運用の方法を模索している方や、効率よく資産を増やしたい方の参考になったら嬉しいです。

米国株投資のメリット

日本株投資にはない魅力がある、米国株投資。賢く利用して資産を増やすために、まずは米国株投資のメリットについて知っておきましょう。

継続的値上がり相場

まず、日本の株式相場と米国の株式相場を比較してみましょう。マネックス証券の米国株を始める3つの理由より引用した下図をご覧ください。

これは、日経平均株価とダウ工業株30種平均(NYダウ)を 1970年から2018年まで比較したチャートです。2000年代に入ってからNYダウの方が大きく伸びていることが分かります。

2008年にはリーマン・ショックが起きましたが、日経平均株価に対してNYダウの方が早く株価を戻しています。このように急落後の反発が比較的早いことも、米国株式相場の特徴です。

2019年の米国株式相場は基本的に右肩上がりが続きました。2020年もトランプ政権の続投が期待されています。最近の米国相場にはやや加熱感があるものの、今後も堅調な成長が見込めるでしょう。

市場規模の大きさ

アメリカ合衆国が経済大国であり続ける最大の要因は、国民の個人消費が国内消費の約7割と、大きな割合を占めていることです。さらに、未だに人口も伸びていて、少子高齢化に苦しむ日本より有利な環境といえます。

2018年時点でのアメリカ企業の総時価総額は約3283.2兆円(30,436,313百万米ドル)、世界3位の経済大国・日本企業の時価総額は、約561.6兆円(5,296,811百万米ドル)。

日本の約5.8倍も大きい米国市場に投資をする価値は高いでしょう。

ETFが充実

米国株を購入できる証券会社は限られており、その取引時間にも制限があります。その不便さを解消できるのが、「ETF(上場投資信託)」という商品です。

上場投資信託(じょうじょうとうししんたく)とは、金融商品取引所で取引される投資信託の事。ETF(英語: Exchange-Traded Fund)、上場投信という略称がよく用いられる。一般の投資信託は金銭の出入りにより解約設定されるが、ETFは投信会社指定の現物金融商品による。一般の投資信託は組み入れ資産だけを証券化するのに対して、ETFは投資家の拠出する現物まで証券化する。

引用元:上場投資信託(Wikipedia)

ETFは日経平均株価やNYダウなど特定の指数に連動した運用を行う投資信託です。通常の投資信託と異なり、東京証券取引所などの取引所に上場しています。

通常の投資信託は売買に数時間〜数日かかるので、実際に取引できる価格が正確に分からないのですが、ETFは米国株や日本株と同じくリアルタイムで売買できるのが特徴です。

さらに、複数の銘柄を組み合わせた投資信託のメリットである リスク分散も可能な、
”いいとこ取り”の商品でもあります。

米国株を組み合わせたETFは日本でも多く取り扱われているので、豊富な商品群から好きな商品を選んで投資できます。

年4回の配当金

米国では”株主への還元”を重要視する傾向があるため、年4回安定的に配当を出す企業が多いことも特徴です。

日本企業は株主優待を出すところもありますが、配当金は年1~2回もしくは無配当と、現金での還元は米国企業に比べ少ないで傾向があります。株式を持ち続けることで、定期的に配当収入を得られるのは嬉しいですね。

少額投資が可能

日本株は基本的に100株から取引できますが、米国株は1株から購入可能です。中には1株1万円を切る企業もあります。

一度に大金を投資すると価格変動リスクに弱いですが、少額投資なら銘柄や購入時期を分散できるので、そのリスクを軽減することが可能です。「損をしたらどうしよう……」という不安も和らぐでしょう。

米国株投資のデメリット

米国株投資にはメリットが多いですが、もちろんデメリットも存在します。その内容を理解して、十分納得してから投資を始めるといいですね。

企業情報が入手しにくい

日本にいると日本企業のニュースはさかんに報道されていますが、アメリカ企業の情報は基本的に入ってきません。そのため、アメリカの個別株の情報を得たければ、意識的に自分で情報を集める必要があります。

この情報収集を省略したい場合は

  1. 有名投資家が保有している企業に投資をする
  2. 個別株ではなく米国ETFを購入する

などの方法があります。

投資初心者だからこそ、すでに結果を残している投資家の知恵を借りるのは大切でしょう。

為替変動が影響

米国株を購入するときには米ドル建てで買い付けるため、株価の変動に加えて為替の変動も影響します。為替によって株価の利益が飛んでしまうというリスクも頭に入れておく必要があります。

また、日本円・米ドルの両替に一定の為替手数料もかかります。そのため、一度米ドルに換金したらそのまま保有し、円高に振れたときに日本円に換金するといいでしょう。

売買手数料が割高

株式や投資信託を売買するときには、基本的に手数料がかかりますが、米国株の購入手数料は日本株よりもやや高めです。

米国株を扱うマネックス証券SBI証券楽天証券の売買手数料は横並び状態で
「約定金額の0.45%」となっています(2019年12月現在)。手数料を多めに支払う分、大きな利益を稼ぎたいですね。

米国で10% 課税

通常国内株の売却で出た利益には約20%課税されますが、米国株を保有中に配当金を受け取ったときには、米国で10%課税され、さらに日本で課税される ”二重課税” が起こります。

しかしこの10%分は 確定申告で「外国税額控除」を申告することで還付されますので、年明けにしっかり申告して受け取りましょう。

【NISA口座を使う際の注意点】
一定金額が非課税になる「NISA口座」を利用する場合には、日本での税金が取られません。そのため、米国の10%課税が二重課税に当たらず、「外国税額控除」の対象外となります。

投資初心者におすすめ「米国ETF」

投資初心者が米国株投資をスタートするなら、まずは個別株ではなく米国ETFを購入するのがおすすめです。そこで、取り組みやすい米国ETFの特徴や銘柄について説明しましょう。

米国ETFの特徴

ETFのように、ある指数や指標に沿って動く運用手法のことを、インデックス運用(パッシブ運用)といいます。

代表的な米国ETFは、NYダウ や S&P500にインデックスする商品です。それぞれの内容を押さえておきましょう。

NYダウ(ダウ工業株30種平均)

米国経済を代表する30銘柄の”平均株価”を指数化したものです。IT企業のアップルやヘルスケアメーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン、飲食業のマクドナルドなどが組み込まれています(2019年12月現在)

 

S&P500(Standard & Poor’s 500 Index)

ニューヨーク証券取引所やNSDAQなどに上場している米国企業のうち、流動性が高い大型株500銘柄で構成されていて、その”時価総額”を指数化したもの。この時価総額は、すべての上場米国株式の約80%に当たるそうです。

このように、NYダウとS&P500は対象銘柄や指数の算出方法が異なるので、その値動きも異なります。

インデックス運用の逆は、指標よりも利益を出すよう積極的に運用するアクティブ運用です。2008年のリーマン・ショックより前は、アクティブ運用の投資信託の方が人気があった印象です。しかし最近は、値動きが堅調で販売手数料の低いインデックス商品が、販売ランキングの上位を占めています。

米国ETFのメリット

ETF投資最大のメリットは値動きの分かりやすさです。投資対象の指数に沿って値動きするので、個別株よりも動向を把握しやすく日本にいても情報が入ってきやすいです。

また、ETFも1口から購入できるので少額から投資できることもメリットですね。まずETF投資からスタートして米国株式市場の動きを把握し、徐々に個別株投資に移行していくのもいいでしょう。

人気の米国 ETF (IVV・VOO・SPY)

各証券会社で取り扱われていて、運用額・人気とも高い米国ETFを3つ紹介します。私もこの中から選択してETF投資を始めました。

IVV(iシェアーズ・コア S&P 500 ETF)

「IVV」はブラックロック社の大型ETFで、それを東京証券取引所(東証)に上場させたものが「iシェアーズ・コア S&P 500 ETF」(証券番号?:1655)です。

日本での販売開始は2017年と比較的新しいですが、大元のIVVは歴史あるETFなので、その分信頼感があります。また、手数料の割合を示す「経費率」は0.04%と低いので、その分良好な値動きが期待されます。

SPY(SPDR® S&P 500® ETF)

「SPY」は、スパイダー社が販売している世界最大のETFで、この東証バーションが「SPDR® S&P 500® ETF(証券番号:1557)」です。老舗ならではの安心感があり、運用額がずば抜けて大きいのが魅力ですが、経費率が0.09%なのは気になるところです。

VOO(バンガード・S&P 500 ETF)

「VOO」は、バンガード社が販売しているETFで、経費率が0.03%とIVVと並んで低いことから人気が高いです。東証では「バンガード・S&P 500 ETF(証券番号:)」で販売されています。

上記の銘柄はどれも S&P500 と連動していますが運用会社が違うため値動きも若干変わります。しかし大きな差はありませんので、好きな銘柄を1口購入してみるのがいいでしょう。

経費率の低さで選ぶなら IVV もしくは VOO、老舗の安心感で選ぶなら SPY ではないでしょうか。

米国株投資 まずは1株から

資産運用を始めるなら、米国株への投資がおすすめだと思います。上述した通り、世界一の経済大国、堅調な値動き、日本株式よりも配当金が多い、などが主な理由として挙げられます。

しかしいきなり個別株を購入するのは不安、という方には、指数に沿って値動きをする米国ETF投資から始めるのもいいでしょう。S&P500に連動するIVV・SPY・VOOは人気・運用額とも高いので、最初の一歩に向いています。

日本で預金しているだけでは資産が増えない現代。自分で工夫をして、賢く資産を育てていきましょう。