税金

贈与税を活用して資産を子どもに残す

贈与税。
聞いたことはあるけれど、実際に利用する機会はほとんどないと思っていました。

しかし、「贈与税を毎年活用すれば、資産をより多く妻や子どもに遺せるらしい!」
そう聞いたので、さっそく調べることにしました。

結論からいうと、資産があるなら毎年計画的に贈与した方がいいです。
贈与税に関する調査結果と私なりの解釈をご紹介しましょう。

贈与税とは

そもそも贈与税とはどういう内容の税金なのでしょうか?

【贈与税とは】
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。
会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。
また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。
ただし、死亡した人が自分を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。

No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁)より引用

つまり、贈与税とは、個人から財産を受け取ったときにかかる税金のこと。
これを家族間で適用するなら、親から子にお金を渡した場合、子に対して贈与税がかかるということです。

贈与税がかからない金額は「110万円以内」

自分が死んで相続が発生したとき以外の、通常の贈与は、「暦年課税」の対象になります。

【暦年課税とは】
贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。

No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁)より引用

上記にもある通り、その年の1月1日〜12月31日の間で贈与した金額が110万円以内なら、子は贈与税を納める必要はない、ということですね。

贈与税(暦年課税)の税率

もし年間110万円を超えて贈与した場合、どれくらい税金がかかるのかも知っておきたいと思います。以下は、贈与税の速算表です。

税率には、一般税率と特例税率の2種類があり、簡単にいうと、以下のような使い分けをしています。

【一般税率の対象】

  • 親→未成年の子どもへ
  • 夫→妻へ(妻→夫へ)
  • きょうだい→きょうだいへ

【特例税率の対象】

  • 祖父母→孫へ
  • 親→成人した子どもへ

No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)よりお借りしました

一般税率よりも特例税率の方が、税率や控除額を優遇していますね。

なお、特例税率は「直系尊属から直系卑属へ」の贈与に適用されるので、血のつながりがない関係性(自分と配偶者の親)や、卑属から尊属(子どもから親・祖父母)への贈与には使えません。ややこしいです……。

子どもに贈与するメリット

贈与税のかからない範囲で子どもに定期的に贈与を続けるメリットは、2つあると考えています。

メリット①相続のときに相続税を軽減できる

一番のメリットは、相続時に相続税を軽減できる可能性があること。

親が子どもに多くの資産を残す機会は、自分が死んだとき、つまり相続発生時です。
相続税がかかるかどうかは、以下の計算式で確認できます。

【相続税の総額の計算】
課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
= 課税遺産総額

No.4152 相続税の計算(国税庁)より

少し分かりにくいので、例を挙げてみましょう。

【相続税の計算例】
・相続する資産額の課税価格=7000万円
・法定相続人(遺産を受ける人)=3人(妻、長男、長女)

このケースを上記の計算式に当てはめると、
7000万円−基礎控除額(3000万円+600万円×3人)=2200万円


No.4155 相続税の税率(国税庁)より

この速算表を見ると、2200万円は「3000万円以下」に当てはまるので、かかる相続税は、

(2200万円−控除額50万円)×15%=322.5万円

となります。

「7000万円も資産を残せないよ」と思うかもしれませんが、自分が蓄えた預金や購入した不動産、そして親の代から引き継いだ遺産などがあった場合、意外と現実的な数字かもしれません。

相続の直前に贈与した場合には、相続税の対象になることもありますが、今から妻や子どもにコツコツ贈与していけば、将来かかる相続税を軽減できる可能性は大いにあります。

メリット②子どもにお金の使い方を教えられる

これは金銭的ではなく教育的な側面ですが、まだ幼い子どもにお金を渡すとき、その全額や一部の使い方を一緒に考え、ファイナンスの知識や感覚を習得させることもできます。

アメリカでは幼少期からお金の使い方を子どもに教えるそうです。
日本ではあまりない習慣ですが、小さいころから資産運用やローンの概念を知っておくと、将来大人になってから役立つかもしれないですよね。

私は子どもが幼稚園に上がるころ、お金に興味を持ち始めたらファイナンス教育を始めようかなと考えています。

知っておきたい贈与税の知識。計画的に活用しよう

年間110万円以内なら、贈与税なしで妻や子どもにお金を渡すことができます。
将来かかる相続税を減らせるという大きなメリットのほか、子どもに早くからファイナンス教育をすることも可能です。
贈与税の知識を活用して、多くの資産を家族に残そうと思います。